遺伝性平滑筋腫症・腎細胞がん症候群(HLRCC)にベバシズマブ+エルロチニブが著効
Bevacizumab and Erlotinib in Hereditary and Sporadic Papillary Kidney Cancer
背景
遺伝性平滑筋腫症・腎細胞がん症候群(hereditary leiomyomatosis and renal cell cancer: HLRCC)は、フマル酸ヒドラターゼ(FH)遺伝子の病的バリアントと皮膚/子宮平滑筋腫・2型乳頭状腎細胞がんを特徴とする希少疾患である。HLRCC関連腎細胞がんは若年から発症がみられ、悪性度が高く予後不良である。
アメリカNational Cancer InstituteのSrinivasanらは、進行したHLRCC関連腎細胞がん(n=43)・散発性乳頭状腎細胞がん(n=40)の成人患者を対象に、ベバシズマブ+エルロチニブを投与し、有効性を評価する第2相試験を実施した。
結論
HLRCC関連腎細胞がんでは43名中31名(72%)に奏効が認められ、無増悪生存期間は中央値21.1ヵ月、全生存期間は中央値44.6ヵ月であった。
散発性乳頭状腎細胞がんでは40名中14名(35%)に奏効が認められ、無増悪生存期間と全生存期間の中央値はそれぞれ8.9ヵ月、18.2ヵ月であった。
最も一般的な治療関連有害事象は、ざ瘡様皮疹、下痢、蛋白尿で、いずれも7割超でみられた。グレード3以上の治療関連有害事象としては高血圧(34%)、蛋白尿(17%)が一般的であった。
評価
FHの欠失は、低酸素誘導因子(HIF)の安定化を通じて血管新生・腫瘍形成経路を活性化させる。ベバシズマブ+エルロチニブによるVEGF-A・EGFR二重阻害は、この機序を直接叩くもので、この第2相試験でも高い奏効率を実証した。
すでにNCCNガイドラインにも記載されており、確立された治療法のない、この集団にとっては福音となる。

