アメリカで脂質低下薬はどう処方されているか
Utilization and spending on lipid lowering therapies in Medicaid from 2018 to 2022

カテゴリー
循環器
ジャーナル名
American Heart Journal
年月
June 2025
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開始ページ
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背景

米国では7,000万人以上の低所得者がメディケイドに加入しており、心血管疾患の負担が大きい。
アメリカBeth Israel Deaconess Medical CenterのOseranは、2018〜2022年のメディケイドによる全国レベルの脂質低下薬(スタチン・PCSK9阻害薬等)の支出・利用データを分析し、各年の総請求額と総支出額を評価した。

結論

1億1,500万件以上の処方箋を分析した。期間中の脂質低下薬の年間処方件数は1.2%増の2,290万件、支出は13.2%増の3億9,440万ドルであった。スタチン使用は期間中安定し、支出は減少したが、PCSK9阻害薬・イコサペント酸エチル・ベンペド酸は、処方件数・支出ともに大幅に増加した。特にPCSK9阻害剤は処方件数が約16倍の121,737件、支出が約7倍の6,570万ドルと急増した。

評価

メディケイド支出は、低所得者の状況を反映するため一般化は困難だが、他報告と総合すると、近年脂質低下薬では、利用率の比較的低い新規薬・高価薬への支出が、全体の増加を大きく押し上げた、という結論である。さらに、循環器専門医を中心とする高ボリューム医たちが集中して高コスト薬を処方している、という「逆最適」状況が、この原因であると示唆していることが重要である。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)