急性冠症候群とHDL機能の関連を評価
Dysfunctional HDLs are Associated with a Greater Incidence of Acute Coronary Syndrome in a Population at High Cardiovascular Risk: A Nested-Case Control Study
背景
HDLの単純「善玉説」は成立しないが、その機能と急性冠症候群(ACS)の関連は詳細不明である。スペインHospital del Mar Medical Research InstituteのHernaezらは、PREDIMEDRCT登録者中のACS罹患者と非罹患者データを用いケースコントロール研究を行った(167ケース・334コントロール)。
結論
ACSリスク増と関連したHDL関連指標は、コレステロール流出能(OR:0.58)・スフィンゴシン1リン酸(OR:0.70)・アポ蛋白A-1(OR:0.58)の低値、およびHDL酸化炎症指数高値(OR:1.27)であった。心筋梗塞リスクと関連したHDL関連指標は、コレステロール流出能(OR:0.33)・スフィンゴシン1リン酸(OR:0.60)・アポ蛋白A-1(OR:0.59)の低値であり、不安定狭心症リスクは、HDL酸化炎症指数高値(OR:1.53)・アポ蛋白A-1の低値(OR:0.52)と関連した。
評価
PREDIMEDは地中海食の健康効果を担保したスペインの国家事業的研究で、多くのスピンオフを生み出している。これは、HDLの機能不全がACSのリスク因子であると示唆した初めてのコホート研究となる。本解析でのバイオマーカーのいくつかは汎用される可能性がある。