高齢ACS患者に早期侵襲治療をすべきか:メタアナリシス
Early Invasive or Conservative Strategies for Older Patients With Acute Coronary Syndromes: A Meta-Analysis

カテゴリー
循環器
ジャーナル名
JAMA Internal Medicine
年月
June 2025
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開始ページ
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背景

急性冠症候群(ACS)の高齢患者に対する最適治療は重要な問題であり、新たな大規模データも利用可能になっている。
イギリスImperial College LondonのReddyらは、70歳以上のACS患者3,009名を対象とした8件のRCTにおける早期侵襲的治療戦略と保存的治療の臨床結果との関連性を統合評価するメタアナリシスを行った。
一次アウトカムは、全死亡であった。

結論

早期侵襲的治療戦略は全死亡リスクに有意差をもたらさなかったが、心筋梗塞再発リスクを22%、冠動脈血行再建術の反復実施率を57%有意に低減した。他方、大出血リスクは1.6倍に増加した。心血管死・MACE等その他二次アウトカムに差はなく、非ST上昇型ACSでも同様の結果であった。

評価

このテーマに関してはすでに複数のメタ分析が発表されているが(https://bmccardiovascdisord.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12872-025-04560-8)、このICL分析は、最大規模のSENIOR-RITAを含む全RCTデータ、NSTE-ACSの長期追跡、STEMIを含む全ACS患者のデータを統合している。この統合分析により、侵襲的治療が全死亡(一次アウトカム)リスクを低減しない一方、再発性心筋梗塞・冠動脈血行再建術のリスクを低減するとしたが、他方、大出血リスクの60%増と関連するともした。これまでのRCT・メタアナリシスが示してこなかった知見であり、この問題に混迷をもたらすが、少なくとも侵襲的アプローチの選好を示唆するものではない。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)