ICUに入室している母親は授乳を開始可能
Lactation Practices in Critically Ill Patients

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
CHEST Critical Care
年月
March 2025
3
開始ページ
100123

背景

産科合併症や他の疾患により集中治療室(ICU)への入室を必要とした妊産婦が母乳育児を希望している場合、ICUはその機会を提供することができるのか。
アメリカUniversity of MichiganのKolbeらは、同大学病院のICUに入室した出産後6ヵ月以内の患者(n=111)を対象として後向カルテレビュー研究を実施し、授乳の実施率と方法、およびICU授乳の潜在的障壁について調査した。

結論

計102名が生児を出産し、うち87名(85.3%)が授乳を開始し、71名(69.6%)はICU入室中からの授乳開始であった。退院まで授乳を継続したのは72名(70.6%)であった。
65名の患者(63.7%)では事前に授乳計画について文書化されており、ほとんど(81.5%)が授乳開始を希望していた。授乳開始計画の文書化と授乳開始は有意に関連した(オッズ比 9.21)。
79名(77.5%)の患者が入室中にラクテーション・コンサルタントの評価を受けたが、出産後24時間以内に評価が実施されたのは30名(29.4%)であった。ラクテーション・コンサルタントの評価は、退院までの授乳継続と関連した(オッズ比 4.74)。
人工呼吸器装着が行われ、授乳が開始された患者47名(46.1%)のうち、17%では挿管中は授乳開始が延期されていた。

評価

本研究の施設は、ラクテーション・コンサルタントが24時間利用可能など、支援体制を備えた施設でもあり、ICUに入室した母親の7割が入室中から授乳を開始していた。
母乳育児を希望する産後重症患者での授乳支援はほとんど研究されていないテーマだが、児との分離による精神的苦痛を緩和し、疾患から回復する力をもたらす可能性がある。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)