小児がんサバイバーでは加齢関連疾患が約18年早く現れる
Accelerated Aging in Survivors of Childhood Cancer-Early Onset and Excess Risk of Chronic Conditions

カテゴリー
がん
ジャーナル名
JAMA Oncology
年月
May 2025
11
開始ページ
535

背景

治療の進歩に伴う小児がんの予後改善により、小児がん経験者(サバイバー)の治癒後の晩期合併症・健康障害の問題はますます重要性を増している。加齢によって一般に生じる加齢関連疾患(aging-related diseases)は、小児がんサバイバーにどの程度の負荷をもたらしているのか?
アメリカBoston Children's HospitalのYehらは、Childhood Cancer Survivor Studyと全国データベースで、1970年から1999年に診断された5年生存者のデータを用い、小児がんサバイバーにおける6種類の加齢関連疾患(乳がん・大腸がん・心不全・冠動脈心疾患/心筋梗塞・脳卒中・弁膜症)、2種の二次がん(神経膠腫・肉腫)の生涯リスクを推定し、一般集団と比較した。

結論

一般集団では65.0歳までに、20%がいずれかの疾患を発症した。これに対して、小児がんサバイバーでは47.3歳までに20%が発症した(17.7年の発症加速)。また、65歳までにサバイバーの55%がいずれかの疾患を発症すると予測され、相対リスクは一般集団の2.7倍、過剰絶対リスクは34.2%であった。
放射線治療を受けていたサバイバーではリスクがより高かったが(22.0年の発症加速と37.3%の過剰絶対リスク)、放射線被曝のないサバイバーでも依然として高かった(13.5年の発症加速と31.0%の過剰絶対リスク)。
40歳への到達は健康リスクの増加と関連し、40歳のサバイバーが10年以内に新たな疾患を発症するリスクは、一般集団の6.2倍であった。

評価

小児がんサバイバーは加齢関連疾患のリスクが高く、発症のタイミングも一般集団より大幅に前倒されることを明らかにした。
サバイバーでは人生の早い段階から、がん・心血管疾患の予防ケアへのアクセスを確保する必要がある。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)