世界のLp(a)測定実施率は高リスクグループでも1%未満
Global lipoprotein (a) testing trends from 2015 to 2023
背景
心血管疾患の危険因子リポタンパク質(a)[Lp(a)]の検査が、ガイドラインで推奨されているが、世界的実施率は。
アメリカBaylor Scott and White HealthのKhanらは、2015年1月〜23年12月にTriNetX Global Collaborative Networkに登録された175,853名(11ヵ国144機関)のデータを用いて、Lp(a)検査の世界的傾向を、高リスク群を含めて評価する後向コホート研究を実施した。
結論
Lp(a)検査の実施率は、2015年の0.009%から2023年には0.032%に増加した。しかし、高リスク群でも検査率は低く、緩やかな増加に留まった(冠動脈疾患[CAD]: 0.24%から0.85%、末梢動脈疾患[PAD]: 0.20%から0.42%、虚血性脳卒中: 0.61%から0.71%、心不全[HF]: 0.19%から0.51%、CAD家族歴: 0.24%から1.29%、頸動脈狭窄: 0.37%から0.90%、大動脈弁狭窄: 0.18%から0.56%)。
評価
Lp(a)検査はガイドライン推奨が国により異なり、実施率が低いことはわかっていた。本研究は後向コホート研究とはいえ、文句なしに最大規模の調査である。CAD患者では0.24%から0.85%と増加がみられたが、2023年時点でもCAD家族歴のあるサブグループを除き、高リスクサブグループで検査率は1%未満であった。エビデンスと臨床実施との間に大きなギャップがある一例である。