大腸がん以外のdMMR固形がんでも、術前免疫療法で完全奏効の場合は手術を回避可能
Nonoperative Management of Mismatch Repair-Deficient Tumors
背景
ミスマッチ修復機構欠損(dMMR)を有する腫瘍は免疫チェックポイント阻害薬に対する感受性が非常に高く、近年、術前治療で完全奏効となったdMMR大腸がんでは手術の回避が可能であることも示唆されいてる。では、この知見を大腸がん以外の切除可能なdMMR固形がんに拡張することは可能か。
アメリカMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのCercekらは、治癒的切除が可能なI期からIII期のdMMR固形がん患者に対し、術前補助療法として6ヵ月間のdostarlimab(PD-1阻害薬)投与を行い、臨床的完全奏効(cCR)を達成した患者では非手術的管理の選択を許容する、第2相試験を実施した。
結論
直腸がん患者を含むコホート1(n=49)では、全員がcCRを示し、非手術的管理に進んだ。12ヵ月時点で、このうち37名でcCRが持続しており、事前に設定された許容可能なcCR持続率(50%)を上回った。
直腸がん以外のdMMR固形がん患者を含むコホート2(n=54)では、65%にあたる35名がcCRを示し、33名が非手術的管理に進んだ。両コホートでカットオフ日までに治療を完了していた上記103名のうち、84名がcCRを示し、82名は手術を受けなかった。
登録された117名では、2年無再発生存率は92%、再発患者における再発までの期間は中央値20.0ヵ月であった。60%ではグレード1・2の可逆的有害事象が発生し、35%は有害事象を経験しなかった。
評価
Dostarlimabは、以前の報告(https://doi.org/10.1056/NEJMoa2201445)に引き続いてdMMR大腸がんで100%のcCRを示し、さらに大腸以外に原発したdMMR固形がんの2/3でもcCRが達成され、そのほとんどで手術なしの管理が可能であった。
早期dMMR固形がんに新たなパラダイムを画する知見であり、長期アウトカムの評価も含めランダム化試験による確認が望まれる。