急性虚血性脳卒中における病院前RIPerCの有効性は:REMOTE-CAT試験
Prehospital application of remote ischaemic perconditioning in acute ischaemic stroke patients in Catalonia: the REMOTE-CAT clinical trial
背景
急性虚血性脳卒中(IS)患者に対する神経保護治療、遠隔虚血プレコンディショニング(remote ischaemic perconditioning: RIPerC)が注目されている。
スペインUniversitat de LleidaのPurroyら(REMOTE-CAT)は、発症8時間以内の急性IS患者122名を対象として、病院前RIPerCの臨床的有用性・安全性を評価する多施設共同無作為化二重盲検シャム対照試験を行った。
一次アウトカムは、90日時点での良好転帰(mRS<3)率であった。
結論
RIPerCの一次アウトカム効果が示唆されたが、統計的有意レベルに達しなかった[64.9% vs. 47.3%(OR 2.03)]。しかし、年齢・ベースライン状態・初期脳卒中重症度で調整した事後解析では有意差が明確となった(OR 2.94、p=0.017)。重篤有害事象は報告されなかった。
評価
先行小規模研究が実現可能性と安全性を示してきたが(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24203849/、https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28265014/)、90日後の神経学的転帰に対する有効性を示す良いエビデンスがなく、RESIST試験では、機能的アウトカムの改善は認められていない(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37787796/)。病院前状況に限定してシャム対照を入れた今回の試験結果は「有益」エビデンスを強めたが、未だ統計的パワーは十分ではなかった。有益性を確認するさらなる臨床試験が正当化される。