進展型小細胞肺がんでの維持療法にLurbinectedin追加で生存期間延長:IMforte試験
Efficacy and safety of first-line maintenance therapy with lurbinectedin plus atezolizumab in extensive-stage small-cell lung cancer (IMforte): a randomised, multicentre, open-label, phase 3 trial
背景
進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)に対しても免疫チェックポイント阻害薬の有効性が認められており、導入療法・維持療法でのアテゾリズマブ使用が標準治療の一部となっているが、その予後は依然として不良である。
スペインUniversidad Complutense and CiberoncのPaz-Aresら(IMforte)は、世界13ヵ国、96施設で、治療歴のないES-SCLC患者を登録し、4サイクルの導入療法(アテゾリズマブ、カルボプラチン、エトポシド)後に病勢進行のない患者に対する維持療法として、lurbinectedin+アテゾリズマブ、またはアテゾリズマブ単独を比較する第3相RCTを実施した(n=660)。
Lurbinectedinは、ホヤ類から抽出されるトラベクテジンと構造的に類似した合成化合物で、がん細胞のDNAに結合し、転写プロセスを阻害する。2020年にはプラチナ製剤後に進行したSCLCに対してアメリカ食品医薬品局(FDA)の迅速承認を受けている。
結論
導入療法で登録された660名のうち、73%にあたる483名が維持療法に移行し、治療の割り付けを受けた。
無増悪生存期間(層別化ハザード比 0.54)、全生存期間(0.73)とも、lurbinectedin+アテゾリズマブ群で有意に延長した。
グレード3-4の有害事象は、lurbinectedin併用群の38%、アテゾリズマブ単独群の22%に認められ、高頻度なものとしてはlurbinectedin併用群で貧血、好中球数減少、血小板数減少が、アテゾリズマブ単独群では低ナトリウム血症、呼吸困難、肺炎などがあった。グレード5の有害事象(死亡)は、lurbinectedin併用群で5%、アテゾリズマブ単独群で3%発生した。
評価
ES-SCLCのファーストライン維持療法において、lurbinectedinの追加が生存期間を延長することを実証した。新しい治療選択肢となりうる。
Lurbinectedinについては、再発SCLC患者でイリノテカンとの併用を検証する第3相LAGOON試験もすでに登録を完了している(NCT05153239)。