CAR T細胞療法cilta-celは再発・難治多発性骨髄腫に治癒をもたらすか
Long-Term (≧5-Year) Remission and Survival After Treatment With Ciltacabtagene Autoleucel in CARTITUDE-1 Patients With Relapsed/Refractory Multiple Myeloma

カテゴリー
がん
ジャーナル名
Journal of Clinical Oncology
年月
June 2025
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開始ページ
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背景

CARTITUDE-1試験は、3ライン以上の治療またはプロテアソーム阻害薬・免疫調整剤に抵抗性で、プロテアソーム阻害剤・免疫調整剤・抗CD38抗体の投与歴を有する多発性骨髄腫(MM)患者を対象として、B細胞成熟抗原(BCMA)標的キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法シルタカブタゲン オートルユーセル(ciltacabtagene autoleucel; cilta-cel)の安全性・臨床活性を評価した第1b/2相試験である。2021年の報告では、第2相推奨用量での投与を受けた97名の97%で全奏効、67%でtringentな完全奏効が達成された(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(21)00933-8)。
アメリカIcahn School of Medicine at Mount SinaiのJagannathらは、同試験において5年以上の長期ベネフィットが得られた患者を対象とした事後解析を実施した。

結論

治療を受けた97名の全生存期間は中央値60.7ヵ月であった。
このうち32名はcilta-celの単回投与後、維持療法を必要とせず、5年以上無増悪で経過した。このうち12名は、微小残存病変(MRD)・PET/CTによる連続評価を受けており、全員が5年目以降にMRD陰性かつPET/CT陰性を示した。
細胞遺伝学的所見や髄外病変といったベースライン因子は、無増悪患者と病勢進行患者で同等であった。これに対して、ベースラインの腫瘍負荷、cilta-cel製剤中のナイーブT細胞の割合、T細胞/好中球比(TNR)、ヘモグロビン・血小板高値、エフェクター細胞/標的細胞比は、5年以上の無増悪と関連した。

評価

CARTITUDE-1試験では、再発・難治多発性骨髄腫において前例のない、深く持続的な奏効が認められたが、この長期解析では1/3の患者が5年を超えて寛解状態を維持していることが示された。
PFS曲線はプラトーに達したように見え、「真の治癒」への期待が高まっている。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)