鉄欠乏性貧血の心不全患者への鉄剤静注は低インパクト:FAIR-HF2 DZHK05
Intravenous Ferric Carboxymaltose in Heart Failure With Iron Deficiency: The FAIR-HF2 DZHK05 Randomized Clinical Trial
背景
鉄欠乏を伴う心不全患者に対する鉄剤の静脈内投与は、論争的な問題である。
ドイツDeutsches Herzzentrum der ChariteのAnkerら(FAIR-HF2 DZHK05)は、欧州6ヵ国70施設で、鉄欠乏性貧血を伴う心不全(LVEF≦45%)患者1,105名を対象に、カルボキシマルトース第二鉄(FCM)の有効性・安全性を評価する多施設RCTを行った(対照:プラセボ)。FCMは初回最大2,000mg静脈内投与後、4ヵ月ごとに500mgを投与した。
一次アウトカムは、心血管死または初回入院までの期間、心不全による入院総数、TSAT<20%の患者における心血管死または初回入院までの期間であった。
結論
心不全による心血管死または初回入院は、FCM群で141名、プラセボ群で166名発生した(HR 0.79)。しかし、心不全による入院総数とTSAT<20%の患者における心血管死または初回入院までの期間には有意差はなかった。重篤有害事象の発生率は両群同等であった。
評価
歴史の長い問題で、すでに、FAIR-HF・CONFIRM-HF・AFFIRM-AHF・IRONMAN・HEART-FID(n=7,175)を対象としたメタ解析がNature Medicineに掲載されており(https://www.nature.com/articles/s41591-025-03671-1)、そこでの結論は、心不全入院減少は認めたものの、他のハードアウトカムへの効果を認めていない。ここでのFAIR-HF2結果も類似で、疾患の基本過程へのインパクトは少ない、ということになろう。QoLのサポート手段とみなされる。