妊婦院外心停止での死戦期帝王切開、母体生存率は低いが児は半数が生存:系統的レビュー
Maternal and neonatal outcomes following resuscitative hysterotomy for out of hospital cardiac arrest: A systematic review
背景
妊婦の心停止に対する蘇生的帝王切開(resuscitative hysterotomy; 死戦期帝王切開)は、腹部大動脈の圧迫(aortocaval compression)を軽減して母体循環の改善を図るとともに、胎児救命率の最大化を目指す介入で、標準的な心肺蘇生法に反応しない場合に考慮される。
イギリスUniversity Hospitals Coventry & Warwickshire NHS TrustのLeechらは、院外心停止(OHCA)の妊婦に対して行われた蘇生的帝王切開の母体・胎児アウトカムを検討し、蘇生的帝王切開実施のタイミングについて比較するため、OHCA妊婦、あるいは蘇生的帝王切開を対象としたシステマティック・レビューを実施した。
結論
66名の母体、68名の胎児を含む、42報の研究が対象となった。コホート研究が1報、ケースシリーズが3報、症例報告が38報であった。
生存退院率は、母体で4.5%、新生児で45.0%であった。母体、または新生児で神経学的良好な生存が達成されたケースのうち、循環虚脱から蘇生的帝王切開の時間が最も長かったのはそれぞれ29分、47分であった。また、26週で実施されながら新生児が生存したケースも報告された。
バイアスリスクのため、エビデンスの確実性は非常に低い(very low)とされた。
評価
症例報告や小規模ケースシリーズが中心で、メタアナリシスも実施されなかったが、院外心停止での蘇生的帝王切開についてのまとまったデータを提示した。
母体生存率は低かったものの、介入までに長時間を要したにもかかわらず、神経学的良好生存が認められたケースもあり、OHCA例でも蘇生的帝王切開が考慮されるべきことを示唆している。