AS・ATTR-CA併発患者への弁置換術と薬物療法の併用は有益
Cardiac transthyretin amyloidosis treatment improves outcomes after aortic valve replacement for severe stenosis
背景
大動脈弁狭窄症(AS)とトランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CA)の併発が、構造的心不全の新たな原因として注目されている。大動脈弁置換術(AVR)はこの集団の予後を改善するが、ATTR特異的薬剤の効果は不明である。
オーストリアMedical University of ViennaのNitscheらは、中等度/重度ASとATTR-CA併発患者226名を対象に、ATTR特異的薬剤の予後への影響を検討した。
主要評価項目は、全死因死亡・CVD死亡・心不全入院であった。アウトカムを、EuroSCORE IIに適合した孤立性ASの対照群と比較した。
結論
弁治療としてAVRが75.2%(経カテーテル71.7%、外科的3.5%)、保存的管理が23.5%を占めた。ATTR特異的薬剤(99%がタファミジス)は30.5%の患者に投与され、それらの患者はATTR薬剤未投与群より若年でEuroSCORE IIスコアが低く、中等度ASの割合が高かったが、心室中隔肥厚が大きく、左室機能障害がより重度であった。3.6年後、49.6%が死亡(CVD死79.5%)、25.7%が心不全を経験した。ATTR特異的薬剤は全死因死亡(HR:0.40)・CVD死亡(0.47)のリスク低下と独立に関連したが、心不全とは関連しなかった。AVRも生存率を改善した。ATTR特異的薬剤とAVRの併用が最も良好な予後を示し、ASのみでAVRを受けた対照コホートと同等であった。
評価
最新レビューが課題とした重要なテーマ(https://academic.oup.com/ehjopen/article/3/6/oead106/7310830)を正面から取り上げ、ATTR特異的治療薬とAVRとの併用が、患者の生存率を大幅に改善することを初めて確認した。観察研究であること、対象コホートが比較的若年であること、観察期間が短いこと、が制限である。


