新たな大腸がん検診向け血液検査が登場:PREEMPT CRC study
Clinical Validation of a Circulating Tumor DNA-Based Blood Test to Screen for Colorectal Cancer
背景
大腸がんの検診方法としては便潜血検査および大腸内視鏡検査の有効性が確立されているが、近年、これに加えて腫瘍由来の遊離DNAを検出する血液検査が登場しており、2024年にはShieldが大腸がん検診向けの血液検査としては初めてアメリカで上市されている(https://doi.org/10.1056/NEJMoa2304714)。
アメリカNYU Grossman School of MedicineのShaukatら(PREEMPT CRC)は、アメリカおよびアラブ首長国連邦で、大腸がんに関連するリスク因子を持たない平均リスクかつ大腸内視鏡検診を受ける意思のある45~85歳の個人において、採血後に大腸内視鏡検査を行い、大腸内視鏡と組織病理学検査を参照標準として循環腫瘍DNA検査(Freenome)のパフォーマンスを評価する国際共同前向観察研究を実施した。
結論
評価コホート(n=27,010)の参加者の年齢は57.0歳(中央値)、55.8%が女性であった。
72件の大腸がんに関して、循環腫瘍DNA検査の感度は79.2%(57/72)であった。Advanced neoplasiaに関する特異度は91.5%(22,306/24,371)、陰性適中率は90.8%(22,306/24,567)、陽性適中率は15.5%(378/2,443)であった。これらの一次エンドポイントは、いずれも事前に指定された基準を満たした。
ただし、進行前がん病変(advanced precancerous lesions)に関する感度は12.5%(321/2567)であり、基準を満たさなかった。
評価
新たな検査は、大腸がんおよびadvanced neoplasiaの検出について許容しうる精度を示したが、進行前がん病変の感度には課題が残った。
検出パフォーマンスに関して既存の検診法を上回るものとは言い難いが、より心理的負担感の少ない検査として公衆衛生戦略のニッチを埋める役割が期待されている。