血栓溶解療法後のモニタリング頻度は減らしてもよい:OPTIMISTmain試験
Safety and efficacy of low-intensity versus standard monitoring following intravenous thrombolytic treatment in patients with acute ischaemic stroke (OPTIMISTmain): an international, pragmatic, stepped-wedge, cluster-randomised, controlled non-inferiority trial
背景
急性虚血性脳卒中患者に対する静脈内血栓溶解療法は、24時間以上にわたる緊密なモニタリングが必要とされ、集中治療室やそれに準ずる病棟での管理が推奨されている。しかし、20年以上前に確立された、頻回の神経学的所見・バイタルの評価を含む現在のモニタリング・プロトコルは、脳出血リスクが低い患者にとっても妥当なのか。
オーストラリアUniversity of New South WalesのAndersonら(OPTIMISTmain)は、世界8ヵ国120施設をランダム化し、静脈内血栓溶解療法を受ける、NIHSSが10未満で臨床的に安定した急性虚血性脳卒中の連続患者におけるモニタリングを、2021年から2024年にかけて順次標準的モニタリングから低頻度モニタリングへと切り替えていき、機能的不良アウトカム(修正ランキンスケールが2-6)に関する低頻度モニタリングの非劣性を評価する国際共同クラスターランダム化比較非劣性試験を行った。
結論
114施設で計4,922名の患者が登録された。うち2,789名が低頻度モニタリング群、2,133名が標準モニタリング群であった。
90日時点での神経学的不良アウトカム率は、低頻度モニタリング群で31.7%、標準モニタリング群で30.9%であった(相対リスク 1.03)。
症候性頭蓋内出血は低頻度モニタリング群の5名(0.2%)、標準モニタリング群の8名(0.4%)で発生した。重篤有害事象を発現した患者の割合はそれぞれ11.1%、11.3%と同等であった。
評価
神経障害が中等度以下の脳梗塞患者では、血栓溶解療法から2時間経過以降のモニタリング頻度を下げても、脳出血は増加せず、神経学的予後も劣らなかった。
ガイドラインに変更を迫るエビデンスであり、看護・集中治療領域のリソース逼迫を軽減することにつながるだろう。