急性単純性虫垂炎での手術待機中に抗菌薬療法は不要か:PERFECT-Antibiotics試験
Role of Preoperative Antibiotic Treatment While Awaiting Appendectomy: The PERFECT-Antibiotics Randomized Clinical Trial
背景
手術が選択された急性単純性虫垂炎患者では、術前に抗菌薬を投与することで炎症の進行を遅らせ、合併症を軽減すると考えられているが、エビデンスは十分とは言えない。
フィンランドUniversity of HelsinkiのJalavaら(PERFECT-Antibiotics)は、2020年から2023年に北欧3施設で、急性単純性虫垂炎と考えられ、腹腔鏡下虫垂切除術が予定されている成人患者を、待機中の抗菌薬投与(セフロキシムおよびメトロニダゾール)開始、または抗菌薬非投与へと割り付け、穿孔性虫垂炎の発生についての抗菌薬療法なし群の非劣性を検討するRCTを実施した(n=1,797)。
ただし、両群とも麻酔の導入時に予防的な抗菌薬投与を受けた。
結論
治療意図解析における穿孔の発生率は、抗菌薬投与群で8.3%、非投与群で8.9%であり(リスク比 1.07)、事前に設定された非劣性マージンを満たした。
二次アウトカムのうち、手術部位感染率は抗菌薬投与群1.6%、非投与群3.2%と、抗菌薬投与群でわずかに低下した。
評価
単純性虫垂炎における術前の抗菌薬療法は、穿孔性虫垂炎のリスクを低下させなかった。
ただし、SSIリスクに関しては術前抗菌薬療法にわずかなベネフィットが存在する可能性があり、このエビデンスが直ちに実践の変更につながるかは議論の余地がある。