脳梗塞急性期のt-PAブリッジング、Tenecteplaseでは有効:BRIDGE-TNK試験
Intravenous Tenecteplase before Thrombectomy in Stroke
背景
脳卒中患者における血栓回収療法に先立つ血栓溶解療法は、近年、複数のランダム化比較試験において検証されてきたが、併用療法と血栓回収療法単独の間に有意な差は認められていない。ただ、これらの試験ではほとんどの患者がアルテプラーゼを投与されており、tenecteplaseの効果については不明であった。
中国Second Affiliated Hospital of Army Medical UniversityのQiuら(BRIDGE-TNK)は、同国39施設で、最終健常確認時刻から4.5時間以内の内頸動脈・中大脳動脈M1/M2部・椎骨脳底動脈閉塞患者を、tenecteplase静注+血栓回収療法または血栓回収療法単独へと割り付け、90日後の機能的自立(修正Rankinスケール[mRS]が0-2)への効果を検証する医師主導RCTを実施した(n=550)。
結論
90日後の機能的自立は、tenecteplase併用群の52.9%、血栓回収単独群の44.1%で認められた(未調整リスク比 1.20)。
血栓回収療法前の再灌流は、tenecteplase併用群の6.1%、血栓回収単独群の1.1%で達成され、血栓回収療法後にはそれぞれ91.4%、94.1%で再灌流が達成された。48時間以内の症候性頭蓋内出血は、tenecteplase併用群の8.5%、血栓回収単独群の6.7%で発生した。
90日死亡率はそれぞれ22.3%、19.9%であった。
評価
Tenecteplaseブリッジングの有無に焦点を当てた初の検証であり、tenecteplase併用が機能的自立率を有意に高めることを示した。Tenecteplase投与後の再灌流率はアルテプラーゼを上回っており、この差がアウトカム改善につながった可能性がある。
同じテーマでブラジルのRESILIENT DIRECT-TNK試験(NCT05199194)も進行中で、さらなる情報をもたらすことが期待される。