圧迫と冷却でタキサン系化学療法による神経障害を予防する:POLAR試験
Efficacy of Hand Cooling and Compression in Preventing Taxane-Induced Neuropathy: The POLAR Randomized Clinical Trial
背景
化学療法による末梢神経障害(CIPN)はタキサン系化学療法で一般的な有害事象であり、用量制限を必要とする場合があるほか、患者に長期にわたるQOL低下を引き起こす。
ドイツUniversity Hospital and German Cancer Research Center HeidelbergのMichelら(POLAR)は、原発性乳がんの術前・術後化学療法としてナブパクリタキセル/パクリタキセル投与を受ける女性を登録し、冷却手袋による利き手の冷却、またはひと回り小さな手術用手袋による圧迫を割り付け、グレード2以上の感覚性CIPNの予防効果を評価するRCTを実施した(n=122)。
結論
介入を受けた利き手では、冷却群(29% vs. 50%)、圧迫群(24% vs. 38%)ともグレード2以上のCIPNの発生が有意に減少した。
治療中止に至ったケース(n=24)のうち、CIPNを主たる理由であったのは67%であり、主なリスク因子はタキサン系薬剤の累積投与量、神経毒性薬であった。
評価
化学療法中の冷却療法や圧迫療法は、化学療法に関連するCIPNや脱毛などを抑制することが複数の研究で示唆されており、本邦でも浸透しつつあるが、個人内比較を行った本RCTでも両介入がCIPNの軽減と関連した。
このテーマで決定的エビデンスを生み出すべく、ICE COMPRESS試験が800名弱の登録を目指して進行中である(NCT05642611)。

