降圧薬服用は就寝前がいいのか:BedMed
Antihypertensive Medication Timing and Cardiovascular Events and Death: The BedMed Randomized Clinical Trial
背景
降圧薬の就寝前服用が心血管リスクを低下させるかは大規模臨床試験で結果が一致していない。
カナダUniversity of AlbertaのGarrisonら(BedMed)は、同国プライマリケア医436名が登録した高血圧成人3,357名を、1日1回の降圧薬を就寝時または朝に服用する群に割り付け比較するプラグマティックRCTを行った(追跡期間中央値 4.6年)。一次アウトカムは、全死因死亡・脳卒中・急性冠症候群(ACS)、心不全による入院/救急外来受診までの時間の複合(MACE)であった。安全性アウトカムも評価された。
結論
一次アウトカムイベントの発生率は、就寝前群で100人年あたり2.3件、朝方群で2.4件(調整HR 0.96)で、有意差はなかった。一次アウトカムの各構成要素、安全性アウトカムにも群間差はなかった。転倒・骨折、新規緑内障診断、18ヵ月間の認知機能低下にも差はなかった。
評価
プライマリケアにおける長年の論争である。MAPECは、就寝前服用でMACEリスクが1/3になるとし(https://www.tandfonline.com/doi/full/10.3109/07420528.2010.510230)、Hygiaもこれを支持した(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31641769/)。しかし、TIMEでは、アウトカムに差を認めなかった(https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(22)01786-X)。
JAMA Network Openに同時掲載された、虚弱高齢者を対象としたBedMed Frail結果もBedMed主試験結果と同様であった(https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2833842)。今回の結果は決定的結論をもたらしたものとはいえないが、著者らは、「薬の服用タイミングよりも、服用の継続性の方が重要だ。定期的な服用と長時間作用薬の使用を重視すべきで、血圧変動に関する懸念への対処がより効果的だろう」としている。