救急受診を高血圧の発見・介入の機会にする:TOUCHED試験
Emergency Department-Based Education and mHealth Empowerment Intervention for Hypertension: The TOUCHED Randomized Clinical Trial
背景
高血圧は心血管疾患の最大のリスク因子の一つであるが、医療へのアクセスが稀な個人では認識されていないことが多い。
アメリカUniversity of Illinois ChicagoのPrendergastらは、都市部大学病院の救急外来を受診し、血圧上昇(140/90-180/110 mmHg)を認めた個人を登録し、通常ケアとEducation and mHealth Empowerment(E2)介入のいずれかを割り付け、6ヵ月後の収縮期血圧(SBP)の変化を比較するRCTを実施した(n=574)。
通常ケアでは、外来フォローアップの紹介など標準的な高血圧者への退院指導が行われ、E2介入では臨床薬剤師・高度実践看護師(APN)によるコンサルテーション(Post-Acute Care Hypertension consultation)、毎日のモニタリングと行動変容メッセージの提示を行うアプリキット(Withings)、プライマリケアの紹介という3つのアプローチが行われた。
結論
参加者の平均年齢は51歳、56%が女性で、72%が黒人、20%がヒスパニック・ラテン系であった。
6ヵ月後のSBPデータが得られた参加者(n=413)では、E2群でベースラインから-14.3 mmHgの低下、対照群では-9.4 mmHgの低下と、E2群で統計的有意な低下が認められた(平均差4.9 mmHg)。140/90 mmHg以下となった患者の割合は同程度であった(42.9% vs. 36.9%)。
評価
救急で発見された高血圧に対するマルチコンポーネント介入は、有意な血圧の低下をもたらした。
一般的な外来診療へのアクセスが限られた集団にリーチする公衆衛生戦略として、有望であろう。