VTE再発予防で、アピキサバン、リバーロキサバン、ワルファリンをリアルワールド直接比較
Oral Anticoagulation and Risk of Adverse Clinical Outcomes in Venous Thromboembolism

カテゴリー
循環器
ジャーナル名
JAMA Internal Medicine
年月
May 2025
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開始ページ
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背景

静脈血栓塞栓症(VTE)の再発予防の主軸は、ワルファリンから直接経口抗凝固薬(DOAC)へ移行したが、直接比較研究は少ない。
アメリカBrigham and Women’s HospitalのBykovらは、2016〜2024年のメディケアと2つの民間保険データを用い、VTE後にアピキサバン・リバーロキサバン・ワルファリンを開始した18歳以上の患者163,593名(平均71.4歳、女性56.7%)を対象に、3剤の有効性(再発性VTE入院)と安全性(重度出血)を比較した。

結論

再発性VTE入院は3,270件、出血性イベント入院は4,229件発生した。ワルファリンと比較し、アピキサバン(HR 0.67)・リバーロキサバン(0.77)は再発性VTEリスクが低く、アピキサバンはリバーロキサバンよりもさらに低リスク(0.87)であった。重篤出血リスクもアピキサバンがワルファリン(0.70)・リバーロキサバン(0.69)より低かった。リバーロキサバンとワルファリンの出血リスクに差はなかった(1.02)。これらの結果は年齢・性別・がん・慢性腎臓病・出血歴・虚弱性で定義されたサブグループ全体で一貫していた。

評価

この主題に関しては多くの研究があり、最近でもRCTのメタアナリシスがあるが(https://bmjopen.bmj.com/content/12/2/e048619)、この論文は、現在まで最大のリアルワールドデータ解析で、基本的には先行RCTの結果と一致する。EINSTEIN-DVT・EINSTEIN-PE・AMPLIFY等のRCTでは、アピキサバン・リバーロキサバンはワルファリンに対し、有効性で非劣性、出血リスクを有意に低減している。最新のリアルワールド動向を反映する優れた研究だが、癌患者での死亡率上昇との関連には交絡の可能性がある。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)