早期敗血症でのSEP-1バンドル 効果は疑わしい
The Effect of Severe Sepsis and Septic Shock Management Bundle (SEP-1) Compliance and Implementation on Mortality Among Patients With Sepsis : A Systematic Review
背景
SEP-1(Severe Sepsis and Septic Shock Management Bundle)は、敗血症の早期認識・治療を促進するためにアメリカの公的医療保険機関メディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)が2015年に導入したバンドルであり、現在では病院価値に基づく支払い制度(HVBP)に組み込まれ、病院報酬とも連動しているが、その効果には当初から疑問の声が上がっている。
アメリカUniversity of California San DiegoのFordらは、SEP-1の遵守あるいは導入が敗血症の死亡率に与える影響を評価するシステマティックレビューを実施した。
結論
17件の研究が含まれた。
SEP-1遵守と死亡率との関連を評価した12件の研究では、5件で有意なベネフィットが示され、7件ではベネフィットは示されなかった。有意なベネフィットを報告した5件のうち、1件は交絡因子を調整しておらず、1件は重症敗血症のみでベネフィットが認められ、敗血症性ショック患者のみ・メディケア受給者のみを対象とした研究が1件ずつあった。
SEP-1導入と死亡率との関連を評価した研究は5件で、うち有意なベネフィットを示したのは1件のみで、死亡率の傾向について調整を行っていなかった。
すべての研究は観察研究であり、バイアスリスクが低い研究はなかった。
評価
敗血症の早期診療において重要な介入を体系化したバンドルであるが、本レビューによれば、ベネフィットとの関連を示した研究は少数で、エビデンスレベルも低かった。
オバマケアの一環であるHVBPプログラムへの組み込みは、今後見直されることになろう。