高リスクくすぶり型多発性骨髄腫でのダラツムマブ療法が生存率改善:AQUILA試験
Daratumumab or Active Monitoring for High-Risk Smoldering Multiple Myeloma
背景
くすぶり型骨髄腫(SMM)は症候性多発性骨髄腫(MM)の前段階であり、経過観察が標準であるが、高・中間リスクSMMの多くはMMに進行するため、レナリドミド療法などの積極的治療が検討されてきた。
ギリシャAlexandra General HospitalのDimopoulosらは、世界23ヵ国、124施設の高リスクSMM患者を、36ヵ月間のダラツムマブ皮下投与、または積極的モニタリングへと割り付け、無増悪生存期間を比較する第3相RCT、AQUILA試験を実施した(n=390)。
結論
フォローアップ期間65.2ヵ月(中央値)で、ダラツムマブ群は病勢進行・死亡リスクが51%低く(ハザード比 0.49)、5年無増悪生存率はダラツムマブ群で63.1%、モニタリング群で40.8%であった。また、ダラツムマブ群の7.7%、モニタリング群の13.3%が死亡し(0.52)、5年前生存率はそれぞれ93.0%、86.9%であった。
ダラツムマブ群の5.7%が有害事象により治療中止となった。新たな安全性シグナルは認められなかった。
評価
SMMの治療については、QuiRedex試験やECOG E3A06試験でベネフィットが示されているものの、標準化するには至っていなかった。
本試験のダラツムマブは生存期間を延長したことに加え、忍容性も良好であり、説得力のある治療選択肢となるだろう。