トリプルネガティブ乳がん、術後のアテゾリズマブは利益なし:IMpassion030試験
Adjuvant Atezolizumab for Early Triple-Negative Breast Cancer: The ALEXANDRA/IMpassion030 Randomized Clinical Trial
背景
手術可能なトリプルネガティブ乳がんでは周術期の化学療法が標準治療とされていたが、最近の臨床試験は免疫チェックポイント阻害薬の追加が有効であることを示している。
ベルギーHopital Universitaire de BruxellesのIgnatiadisらは、世界31ヵ国330超の施設で、II期・III期トリプルネガティブ乳がんの初回治療として手術を受ける患者を対象に、術後化学療法に加えて、最長1年のアテゾリズマブ投与または投与なしを割り付け、無浸潤性疾患生存率(iDFS)を比較する第3相RCT(ALEXANDRA/IMpassion030)を実施した。
結論
計画登録数2,300名に対して、2,199名が登録された時点で無益性のため登録は中止され、アテゾリズマブの投与も中止された。
iDFSイベントはアテゾリズマブ併用群の12.8%、化学療法単独群の11.4%で発生し、最終的な層別化iDFSハザード比は1.11で、有意差は認められなかった。
アテゾリズマブ群では、グレード3・4の治療関連有害事象が増加した(54% vs. 44%)。
評価
術後化学療法へのアテゾリズマブ追加は、TNBC患者の浸潤性再発を予防せず、治療関連有害事象を増加させた。
KEYNOTE-522試験や、同じアテゾリズマブを術前投与したIMpassion031試験とは対照的なこの結果は、腫瘍やリンパ節の存在が免疫療法の効果を高めるという仮説の傍証である可能性もある。