非HDL-Cレベルから心血管イベントリスクを予測する「リスクサークル」ツール
Application of non-HDL cholesterol for population-based cardiovascular risk stratification: results from the Multinational Cardiovascular Risk Consortium
背景
脂質低下療法の心血管疾患アウトカムへの効果は、大規模・長期研究で確認される必要がある。ドイツUniversity Heart & Vascular Center HamburgのBrunnerらは、欧米19ヵ国の Multinational Cardiovascular Risk Consortium研究のデータに基づき、この問題を検討した(n=398,846[38コホート、追跡中央値13.5年])。心血管リスク評価に加え、非HDLコレステロール(NHDL-C)レベルから心血管疾患イベントの長期確率を予測する簡明ツールを作成し、脂質低下治療によるリスク低減をモデル化した。
結論
イベント発生曲線分析により、NHDL-C増が30年にわたり心血管疾患イベント率を上げることが明らかとなった。作成ツールにより、NHDL-Cレベルから心血管疾患イベント発生確率の推定が可能となった。NHDL-C濃度の50%減は、75歳までの心血管疾患イベントリスクの明確な低下をもたらし、この関連は同濃度の低減が若年期であるほど強くなった。
評価
周知の関連だが、大規模・長期(最長44年)の個人レベルデータで確認し、面白い「リスクサークル」ツールを提供した。若年期からの介入の有効性を強調している点が印象的であり、45歳以下女性でNHDL-Cレベルが 3.7〜4.8 mmol/litreで通常リスク因子が2ある場合、若年期介入でイベントリスクは16%から4%になる、という。