頭部外傷患者における調整晶質液の有害性を確認:メタ解析
Effect of Treatment With Balanced Crystalloids Versus Normal Saline on the Mortality of Critically Ill Patients With and Without Traumatic Brain Injury: A Systematic Review and Meta-Analysis
背景
調整晶質液(balanced crystalloids)の使用は、重症患者一般においては生理食塩水との比較で死亡率を低下させると考えられているが、外傷性脳損傷(TBI)患者では有害性が指摘されている。
スペインUniversity of VigoのDizらは、TBIの有無によって調整晶質液の使用による90日死亡率への影響が異なるという仮説を検証するため、成人重症患者の調整晶質液と生理食塩水を比較した臨床試験を特定し、オッズ比を推定するシステマティックレビュー・メタアナリシスを実施した。
結論
15件の臨床試験、35,207名の患者が対象に含まれた。
TBIのない重症患者の死亡率は、調整晶質液において低下した一方で(オッズ比 0.93)、TBI患者では上昇した(1.31)。その他の副次アウトカムについては、輸液による違いは認められなかった。また、敗血症患者でも有意な差は認められなかった(0.92)。
評価
BaSICS試験のサブグループ解析で示唆されたように(https://doi.org/10.1001/jama.2021.11684)、調整晶質液のベネフィットはTBIの有無によって異なっており、TBI患者では死亡率上昇と関連した。
結論を得るためには、TBI患者で両者を直接比較するランダム化試験が行われることが望ましい。


