DES前のダイヤモンドバックはバルーン血管形成術に優れず:ECLIPSE
Orbital atherectomy versus balloon angioplasty before drug-eluting stent implantation in severely calcified lesions eligible for both treatment strategies (ECLIPSE): a multicentre, open-label, randomised trial
背景
PCI患者における冠動脈石灰化は手技の複雑化や合併症リスクを高めるが、薬剤溶出性ステント(DES)を用いたPCI施行前の石灰化病変処置(Orbital atherectomy: OA)の効果は。
アメリカIcahn School of Medicine at Mount SinaiのStoneら(ECLIPSE)は、同国104施設において、冠動脈重度石灰化病変を有する2,005名の患者(2,492病変)をDES留置前のOA(DIAMONDBACK 360TM)とバルーン血管形成術(BA)に割り付けるRCTを行った。
結論
OAの一次エンドポイント効果を認めなかった[1年以内のTVF率は両群ほぼ同等で(OA群11.5%、BA群10.0%)、MSAにも有意差は認められなかった(OA群7.67 mm2、BA群7.42 mm2)]。1年以内の心臓死は、OA群では1,008名中39名、BA群では997名中26名に発生した。サブグループ解析では、OAから利益を得た特定の患者集団は特定されなかった。穿孔やデバイス関連イベントなどの手技合併症はOA群でわずかに多かったが、統計的に有意ではなかった。
評価
OAには期待が寄せられていたが、BAに対して優位性が示されない、という否定的結果となった。バルーン通過可能と判断した病変のみを対象とし、手技の三分の二が血管内画像診断誘導である、という条件下のRCTであり、重度石灰化症例への血管内イメージングガイド下PCIではBAを先行させる、という方針を支持する。他の補完手法として血管内結石破砕術・高圧バルーン・カッティングバルーン・スコアリングバルーン等が提案されているが、ECLIPSEと同様な大規模対決試験による検証が必要である。