救急での患者経験を損なう因子は?
Use of Hallway Beds, Radiology Studies, and Patients in Pain on Arrival to the Emergency Department Are Associated With Patient Experience
背景
患者経験価値(patient experience)は患者中心の救急医療における重要な指標であるが、救急部門にはコントロール不可能な因子によってもしばしば影響を受ける。
アメリカIndiana University School of MedicineのKuhnらは、2022〜2023年に単一の地域医療システムに属する13の救急外来を受診した患者の横断研究(n=58,622)を行い、患者・臨床・オペレーション因子と患者経験価値スコアとの関連を検証した。
結論
退院患者の7.1%が患者経験価値スコアの調査に回答した。
0-10スケールの推奨度スコアと有意に関連した因子として、人種・性別・加入する保険のタイプなどのほかに、廊下に置かれたベッドでのケア、放射線学的検査、受診時の疼痛スコアがあった。廊下でのケア(−0.38)、受診時の疼痛スコア(−0.08)は経験価値スコアの悪化と関連、放射線学的検査(0.27)は改善と関連した。
評価
廊下のベッドでのケアや受診時の痛みの大きさは、ケアのタイムリーさ・適切さに関係なく患者経験を悪化させ、対して画像診断は患者経験にプラスに影響した。
もっとも、こうした因子が望ましいケアに関する患者の選好をそのまま表しているのか、それともより根本的な要求の代理変数であるのかは慎重に考える必要がある。