経口セマグルチドのT2D患者のCVDイベント抑制効果を確認:SOUL試験
Oral Semaglutide and Cardiovascular Outcomes in High-Risk Type 2 Diabetes
背景
心血管疾患(CVD)高リスクの2型糖尿病(T2D)患者に対する、経口GLP-1受容体作動薬セマグルチドのCVDイベント抑制効果は。
アメリカUniversity of TexasのMcGuireら(SOUL)は、アテローム性動脈硬化かつ/または慢性腎臓病を合併するT2D患者9,650名を対象に、経口セマグルチドのCVDイベント抑制効果をプラセボと比較するRCTを行った。一次エンドポイントは、CVD死・非致死性心筋梗塞(MI)・非致死性脳卒中からなる主要心血管イベント(MACE)の初回発生までの時間であった。
結論
追跡期間中央値49.5ヵ月で、経口セマグルチドの一次エンドポイント効果を認めた[MACEは、経口セマグルチド群で12.0%、プラセボ群で13.8%に発生し、実薬群で有意にリスクが低下した(HR 0.86)]。二次エンドポイントの腎疾患イベントに有意差はなかった。重篤有害事象の発生率は47.9% vs. 50.3%で、胃腸障害の発生率は5.0% vs. 4.4%であった。
評価
注射用セマグルチドで示されたCVDベネフィットが、経口薬で再現されるかという問題を検証し、効果・安全性を確認した試験。一次エンドポイント中、MIリスクの低下が最も大きく、CVD死亡リスクの低減を示したPIONEER 6の結果とは多少異なり、また、セマグルチドがCVDリスクと腎疾患進行をともに抑制した、とするFLOWとも対照的である。経口薬の登場は患者に恩恵だが、価格は月1,000ドルが予定されており、高い。