TAVIでの脳塞栓予防デバイスの使用は無益
Routine Cerebral Embolic Protection during Transcatheter Aortic-Valve Implantation
背景
経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)での脳塞栓予防(CEP)デバイス使用は、正当化されるか。
イギリスOxford UniversityのKharbandaら(BHF PROTECT-TAVI)は同国33施設で、TAVIを行う大動脈弁狭窄症(AS)患者7,635名を対象に、これを検証するRCTを行った(対照: CEPデバイス不使用)。一次アウトカムは、TAVI後72時間以内または退院前の脳卒中発生であった。
結論
一次エンドポイントのイベントは、CEP群2.1%、対照群2.2%で発生し、有意差は認められなかった。機能障害を伴う脳卒中・死亡・アクセス部位合併症も両群で差はなかった。重篤有害事象はCEP群で0.6%、対照群で0.3%に発生した。
評価
アメリカを中心とする国際研究ROTECTED TAVRは、「有意差はないが、ベネフィットは否定しきれない」としていた(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2204961)。これを受けて、イギリスNHS研究インフラを活用し、4年間で7,600名以上の患者(期間中の同国TAVI患者の約30%に相当)を登録した本格的再検証である。「ベネフィットは否定される」と言うに近い結論で、今後CEPを使うためには、特別な理由が要ることになった。代替エンドポイントに依拠した当局の承認も疑問視される結果である。