50歳までに生活習慣を5つ変えると寿命が10年延びる
Global Effect of Cardiovascular Risk Factors on Lifetime Estimates
背景
心血管疾患(CVD)のリスク因子の有無がCVDおよび全死因死亡率に及ぼす生涯リスクとベネフィットは。
ドイツUniversity Medical Center HamburgのMagnussenら(The Global Cardiovascular Risk Consortium)は、6大陸39ヵ国における133のコホート研究から得た18歳以上の2,078,948名のデータを統合し、最長47年間追跡した。50歳時点で、動脈性高血圧(AH)・高脂血症(HPL)・低体重-過体重/肥満・糖尿病(DM)・喫煙の有無に応じて、CVDおよび全死因死亡の生涯リスクを90歳まで推定した。これらのリスク要因の有無による寿命の差(CVDまたは全死因死亡のない追加生存年数)も推定した。
結論
50歳時点で、5つのリスク因子をすべて持つ参加者のCVDの生涯リスクは、女性で24%、男性で38%であった。これらのリスク因子をまったく持たない参加者では、CVDのない追加生存年数推定値は、女性で13.3年、男性で10.6年であった。死亡のない追加生存年数の推定値は女性で14.5年、男性で11.8年であった。5つのリスク因子をすべてを持ち、生活変容がない場合と比較して、55〜60歳の間でAHを修正すると、CVDのない生存年数が最長になり(女性2.4年、男性1.2年)、同時期に喫煙を修正すると、死亡のない生存年数が最長になった(女性2.1年、男性2.4年)。
評価
ドイツ主導の世界的CVD疫学研究の最新報告である。前回の報告は、5つの修正可能なリスク因子が、心血管疾患(CVD)の世界的負担の約半数を占めることを報告した(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2206916)が、今回の報告では、典型的リスク因子の有無の、CVDおよび全死因死亡の生涯リスクへのインパクトを確認した。中年期の生活変容が重要で、55〜60歳の間に4つのリスク因子を改善した参加者は、CVD・死亡から5年以上解放された。CVD予防へのより早い世界的な投資の、説得力のあるエビデンスである。