赤ワインと白ワイン、がんリスクが高いのはどっち?
Consumption of Red Versus White Wine and Cancer Risk: A Meta-Analysis of Observational Studies
背景
アルコール飲料の摂取は各種がんのリスク因子として確立している。ただし、アルコール飲料のタイプごとのリスク、たとえば赤ワインと白ワインのがんリスクが異なるかどうか、はほとんど知られていない。
アメリカBrown UniversityのLimらは、赤ワインおよび白ワインとがんリスクとの関連を調査した既存の前向コホート研究・症例対照研究を特定し、ランダム効果メタアナリシスを実施した。
結論
コホート研究20件、症例対照研究22件が含まれた。
ワイン摂取量(各研究の最高レベルと最低レベルを比較)は、全体的ながんリスクとは関連しておらず、赤ワイン(要約リスク比0.98)と白ワイン(1.00)にも差は認められなかった(n=95,923)。一方、女性(0.91 vs. 1.26)、およびコホート研究のみ(1.02 vs. 1.12)に限定すると、白ワインの摂取はがんリスクの増加と有意に関連していた。
がんの種類別では、皮膚がんのみ赤ワインと白ワインで有意な関連の差が認められた(1.02 vs. 1.22)。
評価
赤ワインは抗酸化物質が多く含まれ、しばしば白ワインよりも健康に良いと喧伝されるが、本メタ解析ではワイン全体ががんリスクと関連しなかった。
いくつかのサブグループでは白ワインでのリスク上昇が認められており、その差異は掘り下げた検証に値すると思われるが、ワインにがん予防効果がみられないというメッセージは、より重要である。