セマグルチドはアルコール使用障害成人の飲酒欲求を軽減する
Once-Weekly Semaglutide in Adults With Alcohol Use Disorder: A Randomized Clinical Trial
背景
GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)セマグルチドは、アルコール使用障害(AUD)成人の飲酒量と飲酒欲求(craving)を軽減するか。
アメリカUniversity of Southern CaliforniaのHendershotらは、AUD成人48名を9週間、週1回のセマグルチド投与またはプラセボに割り付けるRCTを行い、これを検証した。
一次アウトカムは、検査室におけるアルコール摂取量(g-ETOH)および呼気アルコール濃度(BrAC)で、参加者は治療前後に検査室において好みのアルコール飲料を提供され、金銭的報酬のために最大50分間、飲酒開始を遅延することを選択でき、その後120分間自由に飲酒可能とされた。
結論
セマグルチドの一次アウトカム効果を認めた[セマグルチドによりg-ETOH(β、ー0.48)と最大BrAC(β、ー0.46)が中等〜大規模の効果サイズで減少した]。
セマグルチドにより、1日あたりの平均飲酒量や飲酒日数の合計は減らなかったが、飲酒日1日あたりの平均飲酒量(β、ー0.41)と週毎の飲酒欲求(β、ー0.39)が有意に減少し、プラセボに比して時間の経過とともに大量飲酒が大幅に減少した(β、0.84)。
評価
セマグルチドは、2017年に糖尿病、2021年に肥満の治療薬としてFDAの承認を受けたが、その後の使用者の増加にともない、服用中に飲酒量と飲酒欲求が減少したという報告が上げられていた。前臨床研究・観察研究・薬物疫学研究で示唆されていた飲酒量低減効果を、小規模ではあるが、RCTで確認した。
なお、二次アウトカムである喫煙本数においても、1日あたりの喫煙本数が有意に減少しており(β、ー0.10)、同薬の周辺効果はさらに検証される必要がある。