心臓弁手術後のPPM植え込み:8万例調査
Incidence and Risk Factors for Permanent Pacemaker Implantation Following Mitral or Aortic Valve Surgery
背景
心臓弁術後永久ペースメーカ(PPM)植え込みのリスクファクターは。Icahn School of Medicine at Mount SinaiのEgorovaらは、僧帽弁(MV)または大動脈弁(AV)手術後のPPM植え込みの時期別リスクファクターを同定するため、1996年1月~2014年12月にニューヨーク州で開胸AV・MV手術を受け退院した患者77,882名のデータを解析した。一次エンドポイントは1年以内のPPM植え込みである。
結論
一次エンドポイント発生率は、MV・AV修復(r)術後患者で各4.5%・6.6%、AV置換(R)+MVr後で9.3%、MVR後で10.5%、AVR+MVR後で13.3%であった。PPMの79.9%はインデックス入院中に植え込まれた。リスクはMVr術後が最も低く、AVR+MVR術後が最も高かった。高齢・不整脈既往・術前伝導障害・複合手術施行が、入院中PPMのリスク因子であった。30日以降では慢性疾患の合併が主要リスク因子となった。
評価
この主題に関する調査としては最大とみられる。2017年にクリーブランドクリニックがCIEDという括りで4万例の解析結果を発表しているが(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27738074)、CIEDの植え込み率は4.1%、そこでも高齢が最大のリスク因子であった。植え込み患者の死亡リスクは非植え込み者の1.35倍であった。