2型糖尿病入院患者はメトホルミンを停止すべきか
Inpatient Metformin Utilization and Post-hospitalization Clinical Outcomes: An Observational Cohort Study
背景
2型糖尿病(T2D)入院患者におけるメトホルミンの継続は入院後のアウトカムに影響するか。
アメリカStanford UniversityのGalloらは、退役軍人保健局(VHA)病院に入院した同成人患者67,162名を対象に傾向スコアマッチング観察研究を実施した。
一次アウトカムは、退院後90日以内の低血糖であった。
患者の半数は入院中にメトホルミンを継続し、残りの半数は中止した。糸球体濾過量(GFR)30 mL/分/1.73 m2以下の患者と、入院中に死亡した患者は除外した。
結論
メトホルミン群は、退院後90日以内の低血糖(1.5% vs. 1.8%、OR 0.83)・再入院(29.4% vs. 30.6%、OR 0.96)・死亡(6.4% vs. 7.4%、OR 0.86)のリスクが低かった。メトホルミン群は退院時のインスリン処方のリスクも低かった(18.5% vs. 20.3%、OR 0.89)。
評価
ガイドラインでは、乳酸アシドーシスのリスクがあるため、入院患者へのメトホルミン投与を控えるよう推奨しているが、エビデンスは堅固でない。他方、インスリン投与でより一般的な低血糖を回避できるなどの利点のある可能性があるため、禁忌のない限り入院中もメトホルミンの投与を継続すべきだという主張があった。
この研究は、敗血症・CHF・消化管出血・膵炎他の併存疾患のある患者も含めたTarget Trial Emulationで、ガイドラインの推奨に疑問を投げかけた。


