TIA・軽度脳卒中後は脳卒中リスクが10年間は高どまりする:PERSISTメタ解析
Long-Term Risk of Stroke After Transient Ischemic Attack or Minor Stroke: A Systematic Review and Meta-Analysis
背景
一過性脳虚血発作(TIA)または軽度脳卒中後の長期的脳卒中リスクに関するデータが蓄積されている。
カナダUniversity of CalgaryのKhanら(PERSIST)は、TIA/軽度脳卒中(NIHSSスコア 5以下)に関する38研究(171,068名)を対象とする系統レビュー・メタアナリシスを行った。22件はヨーロッパで行われ、7件はアジア、5件は北米、1件はオーストラリア、3件はその他の大陸で行われた。
1次アウトカムは、全脳卒中(any stroke)であった。
結論
1次アウトカム発生率は、1年以内で100人年あたり5.94で、2〜5年目には1.80、6〜10年目には1.72に低下した。最初の1年間では、再発脳卒中の61.7%が最初90日で発生し、既知のリスクを確認した。
脳卒中リスクは最大10年間高いまま持続し、虚血性脳卒中・出血性脳卒中・致死性脳卒中の累積発生率は、各17.8%・2.8%・3.2%、それらの総合致死率は10.4%であった。
脳卒中を続発しなかった患者の10年間の累積障害発生率は42.6%で、コホート全体の全死因死亡率と心筋梗塞率は、各35.1%と5.9%であった。死亡の12.6%は脳卒中によるものであった。
続発脳卒中のリスクは、研究特性に基づいて異なり、北米(率比[RR]1.43)とアジア(1.62)で実施された研究は、ヨーロッパと比較してよりリスクが高かった。
評価
この主題に関する最新のメタアナリシスである。38研究中27件は2007年以降のものだが、同年にTIAの早期診断・早期治療の重要性を強調する複数の研究が発表され、以降は積極的予防策が講じられていた。しかし、この研究では脳卒中リスクが最大10年間持続することが示された。著者らは、「現在の長期脳卒中予防の実践には未だ改善の余地がある」としている。

