AFアブレーション成功後は経口抗凝固薬をやめるべきか
Discontinuation of Oral Anticoagulation After Successful Atrial Fibrillation Ablation
背景
心房細動(AF)に対するカテーテルアブレーション(CA)成功後の経口抗凝固薬(OAC)の中止に関しては明確なコンセンサスがない。
日本Nagoya University(名古屋大学)のYanagisawaらは、初回CA後12ヵ月でAF再発または有害事象のない1,821名の患者(50.6%が12ヵ月間OAC継続)を対象に、術後のOAC中止の帰結を評価する後向コホート研究を行った。
一次アウトカムは、12ヵ月後の血栓塞栓症・大出血・全死因死亡であった。
結論
平均4.8年の追跡期間中、血栓塞栓症・大出血・死亡は、各2.4%・2.3%・3.9%の患者で発生した。
OAC中止群では継続群と比較して、血栓塞栓症イベントが増加し(100人年あたり0.86 vs. 0.37、log-rank P=0.04)、大出血イベントが減少した(0.10 vs. 0.65、log-rank P<0.001)。
無症候性AF・左室駆出率(LVEF)<60% ・左房径(LAD)45 mm以上の患者では、OAC中止が血栓塞栓症のリスク上昇と関連した。HAS-BLEDスコア 2以上の患者では、OAC中止が大出血リスクの軽減に有益であった。
これらの結果は、血栓塞栓症イベントの有意差がなかったことを除き、患者1,100名をマッチングさせた傾向スコアマッチング解析でも同様であった。死亡率は群間で同様であった。
評価
重要なテーマだが研究史が浅く、後向データが積み上げられている段階である。この研究も、「低リスク患者の場合は、OAC中止は安全である可能性がある」「特性(無症候性AFや心機能低下など)によっては、脳卒中イベント予防のためにOAC継続が必要になる場合がある」「相反イベント間のリスクバランスを考慮する必要がある」という難しい結論となった。JAMA Editorialは、「長びくOACを終わらせる手段としてAFアブレーションを推進することは避けるべきだ」としている。