大麻使用による救急受診・入院はその後の死亡リスクと関連:カナダ
Cannabis Use Disorder Emergency Department Visits and Hospitalizations and 5-Year Mortality

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
JAMA Network Open
年月
February 2025
8
開始ページ
e2457852

背景

近年、多くの国で大麻が解禁されたこともあって、大麻の使用は世界的に増大しているが、大麻使用障害(CUD)が死亡リスクと関連するかについては依然としてデータが少ない。
カナダUniversity of OttawaのMyranらは、2015年に医療用大麻、2018年に非医療用大麻の使用が解禁されたカナダ・オンタリオ州で、15〜105歳の全住民(n=11,622,571)を対象にCUDによる救急外来受診・入院が死亡リスクと関連するか検証する後向コホート研究を実施した。

結論

マッチング解析には527,972名が含まれ、うち106,994名が救急・病院でCUDについての治療を受けていた。
病院でのCUD治療から5年以内に3.5%が死亡したのに対し、マッチングされた一般集団の死亡率は0.6%であった(調整ハザード比 2.79)。
CUD治療を受けた個人では、すべての死亡タイプのリスク上昇がみられたが、特に自殺(9.70)、外傷(4.55)、オピオイド中毒(5.03)、その他の中毒(4.56)、肺がん(3.81)はリスク上昇が大きかった。
CUD治療を受けた個人を基準とすると、アルコール(1.30)、精神刺激薬(1.69)、オピオイド(2.19)で治療を受けた個人では、5年死亡リスクが相対的に上昇した。

評価

CUDによる治療歴は、アルコール・覚醒剤・オピオイドによる治療歴と比較すると若干マシなものの、一般集団と比して高い死亡リスクと関連した。
この後向研究からCUDが死亡リスク上昇の直接原因と断定することはできないものの、大麻解禁の世界的トレンドに関する公衆衛生上の大きな懸念事項となる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)