院内感染・VAPでマルチプレックスPCR検査による抗菌薬管理は可能か:INHALE WP3試験
INHALE WP3, a multicentre, open-label, pragmatic randomised controlled trial assessing the impact of rapid, ICU-based, syndromic PCR, versus standard-of-care on antibiotic stewardship and clinical outcomes in hospital-acquired and ventilator-associated pneumonia
背景
院内肺炎および人工呼吸器関連肺炎(VAP)のゴールドスタンダードは微生物学的検査であるが、結果までに時間を要し、その間は広域スペクトル抗菌薬が使用されることになる。
イギリスUniversity College LondonのEnneらは、同国14施設の集中治療室で院内肺炎・VAPが疑われる患者を登録し、下気道サンプルをもとに培養・感受性検査を行う標準治療またはマルチプレックス迅速PCR検査へと割り付け、抗菌薬適正使用支援における優越性、および肺炎の臨床的治癒における非劣性を評価する実用的RCT、INHALE WP3試験を実施した(n=554)。
結論
成人患者453名、小児患者92名が解析対象となった。
24時間時点で、PCR群では76.5%が適切な抗菌薬投与を受けており、標準治療群の55.9%よりも良好であった。
一方で、14日時点での肺炎の臨床的治癒は、PCR群で56.7%、標準治療群で64.5%と、PCR戦略の非劣性は示されなかった。
評価
2時間以内に結果が得られるPCRパネル検査は、ICUでの抗菌薬スチュワードシップ改善をもたらしたものの、肺炎の治癒について非劣性を示すことはできなかった。
さらなるデータが現れるまで、引き続き微生物学的検査がスタンダードとみなされる。