細菌感染疑い小児でプロカルシトニン・ガイドを用いても抗菌薬期間は短縮しない:BATCH試験
Procalcitonin-guided duration of antibiotic treatment in children hospitalised with confirmed or suspected bacterial infection in the UK (BATCH): a pragmatic, multicentre, open-label, two-arm, individually randomised, controlled trial
背景
プロカルシトニンは細菌感染のバイオマーカーであり、これをガイドとして用いることで抗菌薬療法の適正化が図れると考えられている。
イギリスCardiff UniversityのWaldronらは、イングランド・ウェールズの15施設で、細菌感染症の疑い・確認済みで48時間以上の抗菌薬静注が予想される生後72時間から18歳までの患者を、プロカルシトニン検査に基づくアルゴリズム管理または通常ケアと割り付け、抗菌薬静注期間および安全性について評価する実用的RCT、BATCH試験を実施した(n=1,949)。
結論
抗菌薬静注期間の中央値は、プロカルシトニン群96.0時間、通常ケア群99.7時間と差がなかった(ハザード比 0.96)。
複合安全性アウトカム指標に含まれるイベントを経験した児の割合は、プロカルシトニン群で9%、通常ケア群で9%であった(調整済みリスク差 −0.81%)。
評価
プロカルシトニン・ガイドは、細菌感染症が疑われる小児患者での抗菌薬静注期間を全く変化させなかった。プロカルシトニン群はプロトコル遵守率が低かったものの(24%)、不適格例を除いた感度分析でも結果は変わらなかった。
すでに十分な適正使用プログラムが実施されている施設で、プロカルシトニン・ガイドを用いる利点は疑わしい。