途上国の急性脳炎・髄膜炎の診療を改善する
A multifaceted intervention to improve diagnosis and early management of hospitalised patients with suspected acute brain infections in Brazil, India, and Malawi: an international multicentre intervention study
背景
脳感染症(髄膜炎・脳炎など)の診断と管理は、特に低中所得国においては大きな課題となっている。
イギリスUniversity of LiverpoolのSinghらは、ブラジル・インド・マラウイにおける急性脳感染症疑診患者の診断・早期管理を改善するべく、診断・管理アルゴリズム、腰椎穿刺キットパック、パネル検査、スタッフへのトレーニングからなる多角的介入を開発し、その影響を評価した。
結論
2021年1月から2022年11月に、13施設で計2233例の患者が登録された。うち62%が介入前期間、38%は介入後期間であった。
患者は中央値23歳、41%が日齢29日-15歳の小児であった。
症候学的診断を受けた患者は介入前期間では77%であったが、介入後期間には86%に増加した(調整オッズ比 1.81)。微生物学的診断を受けた患者も、介入前期間の22%から介入後期間の30%に増加した(1.46)。
腰椎穿刺の割合、適切な治療までの時間、機能的アウトカムも改善が認められた。
評価
開発されたシンプルな介入パッケージは、3大陸の低中所得国において実際に診断・管理を改善した。
WHO(世界保健機構)は、「Defeating Meningitis by 2030」と名付けられた国際的ロードマップ・イニシアチブに取り組んでおり、本研究で効果を示したこの介入パッケージも、幅広い国・地域で実装が進められている。