AI-ECGで高血圧の発症を予測
Artificial Intelligence-Enhanced Electrocardiography for Prediction of Incident Hypertension
背景
人工知能(AI)の心電図への応用(AI-ECG)が広く試みられている。
イギリスImperial College LondonのSauらは、Beth Israel Deaconess Medical Center(BIDMC)コホートと、UK Biobank(UKB)の外部検証コホート(n=各189,539)を用いて、彼らが開発したArtificial Intelligence Risk Estimator for Hypertension(AIRE-HTN)の高血圧発症・合併症リスク予測能を検証した。
結論
AIRE-HTNは、両コホートにおいてC index 0.70で高血圧発症を予測した。AIRE-HTNスコア最高四分位群では、高血圧発症リスクが4倍増加した。予測精度は、左室肥大のない参加者や正常ECGの参加者でも維持された。
AIRE-HTNモデルは従来の臨床マーカーに対し有意に付加的であり、BIDMCコホートではContinuous NRIが0.44、UKBでは0.32であった。
AIRE-HTNスコアは、CV死(SDあたりのHR 2.24)・心不全(2.60)・心筋梗塞(3.13)・虚血性脳卒中(1.23)・慢性腎臓病(1.89)リスクの独立予測因子であった。
評価
AI-ECGの試みは多いが、高血圧への応用に関してはこれが最初の本格大規模開発である。生物学的妥当性をもつ可能性のある堅牢なモデルを提示したが、国際疾病分類コードを使用して高血圧を定義しており、現在のガイドラインと一致していない可能性がある。同モデルのパフォーマンスは今後、さまざまな集団や臨床設定で検証されることになる。

