ESR1変異進行乳がんでImlunestrantがフルベストラントを上回る:EMBER-3試験
Imlunestrant with or without Abemaciclib in Advanced Breast Cancer
背景
乳がんに対する抗エストロゲン療法において利用可能な選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)は、長らくフルベストラントのみであったが、近年、elacestrantをはじめ、新たなSERDsが登場している。Imlunestrantは、エストロゲン受容体α(ESR1)を標的とし、脳浸透性を有する経口投与可能な次世代SERDである。
アメリカMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのJhaveriらは、世界22ヵ国195施設で、アロマターゼ阻害薬単独またはCDK4/6阻害薬との併用治療中または治療後に再発したER陽性・HER2陰性進行乳がん患者を、imlunestrant単独、標準内分泌療法、またはimlunestrant+アベマシクリブへと1:1:1で割り付け、無増悪生存期間を比較する第3相RCT、EMBER-3試験を実施した(n=874)。
結論
標準内分泌療法群の患者のほとんど(292/330)はフルベストラントを受けていた。
ESR1遺伝子変異を有する患者(n=256)における無増悪生存期間(中央値)は、imlunestrant群で5.5ヵ月、標準治療群で3.8ヵ月であった。19.4ヵ月時点での境界内平均生存期間は、imlunestrant群で7.9ヵ月、標準療法群で5.4ヵ月であった(差2.6ヵ月)。
患者全体の無増悪生存期間はimlunestrant群で5.6ヵ月、標準治療群で5.5ヵ月であった(ハザード比 0.87, 非有意)。また、imlunestrant-アベマシクリブ群とimlunestrant群の比較(n=426)では、無増悪生存期間はそれぞれ9.4ヵ月、5.5ヵ月であった(ハザード比 0.57)。
グレード3以上の有害事象は、imlunestrant群の17.1%、標準治療群の20.7%、imlunestrant-アベマシクリブ群の48.6%で発現した。
評価
Imlunestrantは、標準治療のフルベストラントと比してPFSを改善したが、そのベネフィットはESR1変異患者に限られた。また患者全体では、imlunestrantとアベマシクリブの併用がimlunestrant単独を上回った。
経口投与が可能で忍容性も良好であり、フルベストラントを代替する治療選択肢となりうる。