ポイント・オブ・ケアGFAP検査で病院前に頭蓋内出血を特定する
GFAP point-of-care measurement for prehospital diagnosis of intracranial hemorrhage in acute coma
背景
グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)は、頭蓋内出血時に血中濃度が急速に上昇することが知られ、さらに近年、外傷性脳損傷(TBI)での頭部CTの要不要を判断するためのポイント・オブ・ケアGFAP検査が登場したため、病院到着前に利用可能な頭蓋内出血バイオマーカーとして注目を集めている。
ドイツRKH Klinikum LudwigsburgのZylyftariらは、病院前で急性昏睡(グラスゴー・コーマ・スケールが3-8)と診断され、同施設の救急に来院した患者を登録し(n=143)、病院前に採取された血液サンプルでのポイント・オブ・ケア血漿GFAP測定(i-STAT Alinity)が頭蓋内出血を鑑別可能か検証した。
結論
51名が頭蓋内出血を主因とする急性昏睡であり、他の病因として虚血性脳卒中、てんかん発作、心肺性などがあった。
血漿中のGFAP濃度は、頭蓋内出血の患者で中央値3,352 pg/mL、他の病因の患者では中央値43 pg/mLと、頭蓋内出血で顕著に上昇した。ROC解析によって特定された最適カットオフ値(101 pg/mL)を用いると、頭蓋内出血についての感度は94.1%、特異度78.9%、陽性適中率71.6%、陰性適中率95.9%であった。
また、院内死亡リスクが病院前GFAP濃度と関連することも明らかになった。
評価
急性昏睡の一部は致死的な病因を持つが、病院前でのトリアージは困難である。
この研究で検証されたPOC GFAP検査は、高い精度で頭蓋内出血を特定可能であった。大半の症例では病院到着後に検査室で測定が行われたが、小型遠心分離機を用いて病院前測定が可能であることも示しており、迅速なトリアージと管理の最適化にポテンシャルは高い。