脳卒中・TIA既往の短期無症候性AF患者には抗凝固療法を:ARTESiAサブグループ解析
Apixaban versus aspirin for stroke prevention in people with subclinical atrial fibrillation and a history of stroke or transient ischaemic attack: subgroup analysis of the ARTESiA randomised controlled trial
背景
短期無症候性心房細動患者(SCAF)患者4,012名を対象としたARTESiA試験では、アピキサバンはアスピリンより脳卒中が少なかった一方、大出血が多く、結論は未決であった(https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2310234)。
カナダMcMaster UniversityのShoamaneshらは、同試験のサブグループ分析を行い、抗凝固療法の有効性・安全性を、登録前の脳卒中・一過性脳虚血発作(TIA)の既往歴の有無で比較した(平均追跡期間3.5年)。有効性一次アウトカムは脳卒中または全身性塞栓症、安全性一次アウトカムは大出血であった。
結論
既往歴があった346名(8.6%)で、有効性一次アウトカムでアピキサバンがアスピリンに優った(HR 0.40)。既往歴のない参加者3666名ではアピキサバンの優位性はより少なかった(HR 0.69)。
追跡期間3.5年時点での有効性一次アウトカムの発症率の絶対リスク差は、既往歴ありで7%、既往なしで1%であった。既往歴ありの安全性一次アウトカムではアスピリンが優った(HR 1.94)。3.5年時点での安全性一次アウトカムの絶対リスク差は、既往歴ありで3%であったのに対し、既往なしでは1%であった。
評価
ARTESiAの未決結果を受けて、脳卒中・TIAの既往があるSCAF患者では、経口抗凝固療法のメリットが大きい、という仮説を検証した。結果は肯定的で、脳卒中・TIA既往患者では有効性・安全性バランスが変わり、抗凝固療法が選好されうる、という結論を導いた。ARTESiAの全体的結論、ともいえる。