不適睡眠軌跡の死亡リスクを確認
Sleep Trajectories and All-Cause Mortality Among Low-Income Adults
背景
アメリカの成人、主に低所得層者における5年間の睡眠時間の変化パターンと全死因および死因別死亡との関連性は。
アメリカVanderbilt UniversityのFullらは、南東部12州の成人6,928名を対象としたコミュニティベースコホート研究を行い、睡眠軌跡に関連する死亡リスク(全死因・CVD・がん・神経変性疾患)のハザード比(HR)を推定した。
睡眠は、短時間(<7時間)・最適時間(7〜9時間)・長時間(>9時間)に分類され、5年間の変化軌跡を追跡した。
結論
参加者の66.4%の睡眠軌跡は、最適でなかった。黒人参加者は、最適軌跡にある参加者の53.0%、長時間-短時間軌跡にある参加者の84.5%を占めていた。最適ではない睡眠軌跡は、全死因死亡リスクの最大29%増と関連していた。
全死因死亡およびCVD死亡については、長時間-長時間(HR 各1.27および1.22)、短時間-長時間(1.29・1.22)、および長時間-短時間(1.19・1.32)軌跡が、最大のリスクと関連していた。
併存疾患の調整後、がんまたは神経変性疾患による死亡と睡眠軌跡との関連は認められなかった。観察された関連性は人種や世帯収入によってばらつきがあった。
評価
短および長時間の睡眠がCVD・2型糖尿病(T2D)・全原因死亡に悪影響を及ぼすことが知られているが、睡眠軌跡と死亡リスクとの関連、およびその関連が性別・人種・社会経済的格差によって異なるかどうかを検討する大規模研究は、初めてである。著者らは、調査対象人口(主に低所得者)の2/3が不適な睡眠軌跡を辿っていたことは驚きであったとし、また、この地域における不適睡眠軌跡の死亡リスクは、高所得白人でも同様だった、としている。