CACはCAD一次予防戦略の代替ツールになりえる:CAUGHT-CAD
Effects of Combining Coronary Calcium Score With Treatment on Plaque Progression in Familial Coronary Artery Disease: A Randomized Clinical Trial
背景
早発性冠動脈疾患(CAD)の家族歴がある中等度リスク患者に対し、冠動脈カルシウム(CAC)スコアリングによる一次予防で、プラークの進行を制限できるか。
オーストラリアBaker Heart and Diabetes Research InstituteのNerlekarら(CAUGHT-CAD)は、60歳未満でCADを発症した第一度近親者(または50歳未満で発症した第二度近親者)がいる、40〜70歳の無症状の成人で、CACスコアが0より大きく400未満の中リスクの参加者365名を、CACスコア情報提供群と通常ケア群に割り付け、これを検証した。一次アウトカムは、3年後のCCTAにおけるプラーク体積(TAV)である。
結論
通常ケア群と比較して、CACスコア群は、3年時点で総コレステロール(−3 mg/dL vs. −56 mg/dL)およびLDLコレステロール値(−2 vs. −51 mg/dL)の持続的低下を示した。
通常ケア群は、CACスコア群よりもプラークの進行が大きく、TAV(−24.9 mm3 vs. 15.4 mm3)、非石灰化プラーク量(15.7 mm3 vs. 5.6 mm3)、線維性脂肪および壊死性コアプラーク量(4.5 mm3 vs. −0.8 mm3)がそれぞれ大きかった。
CACスコアのガイダンスとTAVの変化との関連性は、ベースラインのTAV・血圧・脂質プロファイル等リスク要因とは無関係であった。
評価
患者にCCTA像を見せて、リスクを実感してもらう、というアプローチで、スタチン治療の導入と遵守が格段に高まった、という。現在一般的なリスクスコアをCACスコアで代替する、という予防戦略のゲームチェンジャーとなりえる。