大気汚染への曝露は乳がんの発症リスクを高める
Air Pollution and Breast Cancer Incidence in the Multiethnic Cohort Study
背景
微小粒子状物質(PM2.5)への曝露が肺がんのリスクとなることは知られているが、消化器がんや乳がんなどでも関連を示唆する研究が現れている。
アメリカUniversity of Southern CaliforniaのWuらは、カリフォルニア州の女性参加者58,358名を、平均19.3年にわたって追跡したMultiethnic Cohort Studyにおいて、人種・民族的に多様な集団におけるPMの経時的変化と浸潤性乳がんリスクとの関連を検討した。
結論
PM2.5(衛星画像に基づく)は、乳がんの発症と有意に関連した(10 μg/m3あたりのハザード比 1.28)。人種/民族、ホルモン受容体のステータスによる異質性は確認されなかったが、乳がんの家族歴は異質性を示した。
Multiethnic Cohort Study、および他10件の前向コホートでのメタアナリシスでは、PM2.5への曝露と関連して乳がんの発症が増加した。
評価
PM2.5が肺がん発症に影響することは想像に難くないが、乳がんについても、内分泌かく乱や炎症、免疫調節への影響を通じて発症リスクを高めると考えられている。本研究は、人種的に多様な集団において、この関連を確認した。
低・中所得国では特に影響が大きいと考えられ、グローバルな対応が求められる。