セマグルチドとチルゼパチドをリアルワールドで直接比較
Semaglutide vs Tirzepatide for Weight Loss in Adults With Overweight or Obesity
背景
チルゼパチドとセマグルチドの減量への有効性が示されており、過体重・肥満者集団における両薬の直接比較データが求められている。
アメリカTruveta IncのStuckyらは、同社の電子医療記録を使用し、2型糖尿病(T2D)治療薬としてチルゼパチドまたはセマグルチドを投与されており、以前にGLP-1受容体作動薬を使用していない過体重または肥満の成人41,222名を対象に、治療中、および3、6、12ヵ月時点での体重変化を評価し、また胃腸障害に関連した有害事象(AE)の発生率を比較した。
結論
チルゼパチド群の55.9%とセマグルチド群の52.5%は投与中止となり追跡調査が終了した。ティルゼパチド群は、体重減少を達成する可能性が有意に高かった(HR ≧5% 1.76、≧10% 2.54、≧15% 3.24)。
治療中の体重変化は、ティルゼパチド群が、3ヵ月(差、−2.4%)、6ヵ月(−4.3%)、および12ヵ月(−6.9%)の時点で大きかった。胃腸障害に関連したAEの発生率は群間で同等であった。
評価
この規模の両薬の直接比較データは初めてであろう。チルゼパチドの減量効果が大きいことは既存RCTのエビデンスと概ね無矛盾である。しかし、両薬が共有する最大の問題が治療中止の多さであることは認知されてきており、有害事象やコスト等、この問題に関するさらなる研究が必要である。